世界のゴミ捨て場は東南アジア?
行き場を失う日本の廃プラスチック
2017年末の中国の廃プラスチック類の輸入禁止により、世界のリサイクル可能な「廃プラスチック類」の約半数が行き場を失うことになり、これらの処理が大きな課題となっています。
以降、日本は、中国の代わりにマレーシア・タイ・ベトナム・台湾を主な輸出先としてきましたが、こうした東南アジア諸国でも、次々に輸入規制を導入しています。
今後、中国に代わる廃プラスチックの輸出先が、新たに現れる可能性は低く、日本の廃プラスチックは行き場を失いつつあるのです。
そんな中、フィリピンが是正に向け大きな声を上げています。
8月にはごみの輸入を3カ月禁止すると表明し、カナダからのごみについては送り返す措置も取りました。
「引き取らないなら、カナダとは戦争だ」
「我が国はごみ捨て場ではない」
ドゥテルテ大統領は4月、カナダ企業がフィリピンで長年放置していた不法ごみに怒りを爆発させました。
駐カナダ大使を召還し、カナダ政府はごみを引き取る事態にまで発展しています。
プラスチックを取り巻く環境が大きく変化する中、廃プラスチックの新たな輸出先を探すという視点だけでは、対応が困難になりつつあります。廃プラスチック排出量の削減や代替品の開発など、プラスチックに対する従来の発想を抜本的に変える必要性が高まるでしょう。
企業にとって商品を売れば終わりという時代は過ぎ去りました。東南アジアを世界のごみ捨て場から、ごみ再生の場に変えられるのか。企業の本気度が問われ始めています。